芳賀・宇都宮LRT
建設プロジェクト
栃木県宇都宮市と芳賀町において、交通ネットワークの基軸として整備されることとなった「芳賀・宇都宮LRT」
そのLRT(ライトレール)では、我が国で初めての軌道構造も採用され、厳しい工期の中、土木・軌道技術者たちの熱い戦いが始まった
まず、大石は土木工事の進捗状況を把握するとともに、軌道敷設後に作業に入る電力・信号設備工事を考慮した上で、軌道敷設が6カ月でどのような体制や施工方法で行えばよいのか模索しながら工程表の作成を行った。作成した工程表は想像以上に厳しいものであった。さらに、今回の軌道構造は通常よく見る犬クギや締結装置を使用してレールを締結するものではなく、特殊な樹脂によりレールを固定する「樹脂固定軌道」という軌道構造であった。また、当該区間には日本初となる薄型レール敷設区間やR=25mという急曲線部もあり、施工は困難を極めた。特に、季節的な条件も厳しく、レールを固定する樹脂の温度管理や樹脂施工箇所の水分率の管理が大きな課題となった。これらの施工に関する課題を解決するため、試験施工を実施し現場における課題抽出を行い、発注者とも協議し確実に対策を講じることで工事を進めていった。
さらに、建設箇所は交通量の多い市街地であり、騒音、振動、道路交通にも配慮しながら、慎重に行わなければならなかった。
プロジェクトは総勢7名で挑み、メンバー全員が『絶対に工期内にプロジェクトを終わらせるんだ!』という‘’三軌魂‘’で、一つ一つ課題を解決しながら着実に工事を進めていった。
厳しい工期の中、東京本社のバックアップも得ながら工事を進め、気づけばゴールは目前だった。
2022年11月、ついに6カ月の工事期間を終え、工事は無事故で完了した。11月17日には当社区間の試運転が開始された。
特殊な工事ではあったが、なかなか経験できないような工事に携わることができたことは大石にとっても苦しい中、とても良い経験となった。「今後もさらなる経験を積み重ねていき、自分自身のスキル向上を行い、若年者の教育にも活かしていきたい」と大石は語った。
芳賀・宇都宮LRTは、2023年8月26日に開業し、順調な滑り出しを見せ、想定の1.4倍ものお客さまが利用されているという。
今日も「雷都」宇都宮の街を、「雷の光」をイメージした黄色のスタイリッシュな電車が、大石たちが敷設した軌道を快走している。
土木部 土木課
大石 祐樹
LRTとは「ライト(軽量な)」レール(線路の)トランジット(公共交通)」の略称で、バリアフリーな低床式車両や電停を導入し、定時制や快適性に優れた次世代の軌道系交通システムのことである。今回、建設を行った「芳賀・宇都宮LRT」は栃木県宇都宮市と芳賀町が、移動しやすい交通環境を作り、暮らしを変えてくための、まちの基軸となる交通機関であり、市民の大きな期待を背負っていた。
LRTの整備区間は全線新設の14.6km(複線)であり、当社はその内の約3.6km(複線)の軌道敷設工事を請負った。工事は2021年10月から着手し2022年11月の完了予定であったが前段の土木工事の遅れ等もあり、本格的な乗り込みは2022年4月からとなった。しかし、工事はLRT開業日が決められており、工期延伸はできず約6カ月間という厳しい工期で当社区間の工事を完了させなければならない軌道敷設プロジェクトであった。
このプロジェクトの監理技術者として任されたのが入社13年目の土木・軌道工事のエキスパートである大石祐樹であった。